聖書の学び

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Ⅰ列王記4:2~6(2023/07/29)

【4:2~6】
『彼の高官たちは次のとおり。ツァドクの子アザルヤは祭司。シシャの子らエリホレフとアヒヤは書記。アヒルデの子ヨシャパテは参議。エホヤダの子ベナヤは軍団長。ツァドクとエブヤタルは祭司。ナタンの子アザルヤは政務長官。ナタンの子ザブデは祭司で、王の友。アヒシャルは宮内長官。アブダの子アドニラムは役務長官。』
 ここではソロモンが王になった頃の『高官たち』が示されています。Ⅰ列王記の記者が生きていた時代は、もうソロモンの時代から数百年も経過していました。その記者はソロモンの治世を全く経験していません。しかし、このようにソロモンの治世における『高官たち』が記されています。これは当時の記録が、口伝であれ文書であれ、Ⅰ列王記の記者が生きている時代まで残されていたことを意味します。その記録を参照しつつⅠ列王記の記者はこの箇所を記したわけです。ここで示されている人または名称の数に何か象徴的な意味はあるでしょうか。まず人の数であれば何も象徴的な意味は見出せません。何故なら、ここで挙げられている人の数は「11」だからです。聖書において「11」は何も象徴的な意味を持ちません。名称の場合、重複も含めて考えるならば、全部で「10」ですから、象徴的な意味があると見てよいでしょう。名称を「10」としてカウントするならば、ここではソロモン時代の統治体制が完全だったことを示しているのでしょう。確かにソロモンによる統治体制は完全だったはずです。何故なら、ソロモンの統治における『高官たち』は、神の知恵を持つソロモンにより任命されたのだからです。

 

 『祭司』は、イスラエルの祭儀を律法に基づいて執り行ないます。彼らはレビ人でなければならないと律法は規定しています。『書記』は、国家の議事録や様々なデータを作成また管理する職務だったのでしょう。『参議』は、議会の統括に関わった職務でしょう。『軍団長』は、イスラエル軍の将軍であり王の側近でした。『政務長官』は、政務を管轄するトップです。『王の友』は職務と呼べませんが、恐らく『ナタンの子ザブデ』はソロモンの幼馴染みだった可能性があります。何故なら、『ザブデ』はダビデと強い関係を持っていた『ナタン』の子だからです。ナタンと共に王宮に来ていた子のザブデが、王子であるソロモンと仲良く遊んでいたというのは十分に考えられる話です。『宮内長官』はイスラエル王室の事務的なトップであり、今の日本であれば宮内庁長官がこれです。『役務長官』とは、国家事業のため雇われた役務者を管理する役人です。ソロモンには神の知恵がありましたので、ここで示されている高官たちは最高の実力を持つ人物だったはずです。もし他に誰か更なる実力の持ち主がいたとすれば、ソロモンはその人を高官に任職させていたはずだからです。