聖書の学び

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Ⅰ列王記2:20~22(2023/07/09)

【2:20】
『そこで、彼女は言った。「あなたに一つの小さなお願いがあります。断らないでください。」王は彼女に言った。「母上。その願い事を聞かせてください。お断りしないでしょうから。」』
 バテ・シェバは何とかアドニヤの願いを叶えてやりたかったので、まず『断らないでください。』と頼んでからアドニヤの願いを告げることにしました。これに対し、ソロモンは『お断りしないでしょうから。』と言って応じます。ソロモンは母が何かおかしなことを願ったりしないだろうと考えていたのでしょう。また母の願いであれば少し難しい内容でも何とか聞き入れるべきだと思っていたので、このように言ったのでしょう。ソロモンがこう言ったのも律法に適っていました。私たちも母から何か願われるのであれば、このような類のことを言うのが望ましいでしょう。

 

【2:21】
『彼女は言った。「シュネム人の女アビシャグをあなたの兄のアドニヤに妻として与えてやってください。」』
 ソロモンの態度が良さそうでしたので、バテ・シェバはアドニヤの願い通りのことをソロモンに頼みます。この時のバテ・シェバは何かおかしなことを頼んでいるつもりが無かったはずです。ただ単にアドニヤに良くしてあげようとの思いから頼んだに過ぎなかったはずです。もしおかしなことを頼んでいるので聞き入れてもらえるはずがないと思っていたとすれば、どうしてこのように頼んでいたでしょうか。

 

【2:22】
『ソロモン王は母に答えて言った。「なぜ、あなたはアドニヤのためにシュネム人の女アビシャグを求めるのですか。彼は私の兄ですから、彼のために、王位を求めたほうがよいのではありませんか。彼のためにも祭司エブヤタルやツェルヤの子ヨアブのためにも。」』
 『何が起こるかを知っている者はいない。』と伝道者の書では言われています。この御言葉の通り、アドニヤとバテ・シェバにとって全く思いがけないことが起こりました。ソロモンがバテ・シェバを通じて頼まれたアドニヤの願いを、全く受け付けなかったのです。ソロモンにとってアドニヤの望みは、理解できないものでした。というのは、アドニヤがアビシャグを得てもただ結婚するだけなのに対し、王位を求めればアドニヤだけでなく親アドニヤである『祭司エブヤタルやツェルヤの子ヨアブ』のためにも大きな益が生じるのだからです。また王位を得たとすれば、アドニヤはその王権によりアビシャグをも自分のために得ることが出来たはずです。つまりアドニヤは大よりも小を求めたわけですが、ソロモンにとってそれはとんでもないことだったのです。この通り、知恵のあるソロモンの前に愚かな願いが持ち運ばれました。知恵は愚かさを嫌います。ですから、ソロモンがアドニヤの願いを聞いて憤ったのは当然のことでした。