聖書の学び

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Ⅰ列王記3:12~13(2023/07/21)

【3:12】
『あなたの先に、あなたのような者はなかった。また、あなたのあとに、あなたのような者も起こらない。』
 このような心を与えられたソロモンのような王は、ソロモン以前に全くおらず、ソロモン以降にも現われることがありません。確かにソロモンから今の時代に至るまで、ソロモンのような王は現われませんでした。これからもそのような王が現われることはありません。これからソロモンのような王が現われる可能性は僅かだけであればあるだろう、などと期待してはなりません。何故なら、神がここで言われたのは真実なことだからです。詩篇でも『みことばのすべてはまことです。』と書かれています。確かにこの事柄は全く真実でした。ソロモン以前の時代を考えると、どうでしょうか。モーセは学識も豊かであり非常に高い知性を持っていたはずです。しかし、モーセは知恵深くても、ソロモンのような王ではなく、また極めて大きな富も持っていなかったでしょう。人類最初の王であるニムロデは、多くの国と地域を支配する王であり、その支配力はとてつもなかったはずです。しかし、このニムロデも知の点ではソロモンに及ばなかったでしょう。ソロモン以降の時代を考えると、どうでしょうか。ダニエルは神の知恵を持つ類稀な知者でした。しかし、ダニエルは知恵深くても、王ではありませんでしたし、莫大な富にも恵まれていなかったと思われます。ローマの初代皇帝であるアウグストゥスは、ローマの支配者でしたから、恐らくソロモンと同等程度の支配力と栄誉を持っていたはずであり、また古代の歴史書から分かる通り、彼は非常に知性の高い人物でした。しかし、このアウグストゥスの持つ知性はソロモンのそれより劣っていたはずです。これは五賢帝の場合でも同じことが言えます。このようにソロモンは知恵と富と栄誉の領域において頂点を極めていました。「天は二物を与えず」と諺にありますが、神はソロモンに三物をも与えられたのです。このような三物に恵まれた王はこれから現われることがありません。

 

【3:13】
『そのうえ、あなたの願わなかったもの、富と誉れとをあなたに与える。』
 ソロモンの願いは御心に適い、それは神の喜ばれることでした。ソロモンは神の望み通りのことを望んだからです。このため、ソロモンには卓越した知恵の心だけでなく、それに加えて『富と誉れ』も与えられることとなりました。これは神がソロモンとその願いを喜んでおられたことをよく示しています。つまり、この『富と誉れ』が与えられたのは、神の喜びにおける具体的な印だったのです。ソロモンは非常に正しいことを1つ願ったので、3倍もの恵みに与かることとなりました。もしソロモンが先に『富と誉れ』を願っていたとすれば、神に喜ばれず、何一つ受けていなかったかもしれません。この出来事からも分かる通り、神の御心に適ったことを願うのであれば、それに伴い多くが与えられることとなります。ですから、私たちは最も大事な事柄を切に願うべきなのです。そうすれば『願わなかったもの』さえも与えられるでしょう。このため、キリストは福音書の中でこう言われたのです。『何はともあれ、あなたがたは神の国を追い求めなさい。そうすれば、それに加えてこれらのものは与えられます。』