聖書の学び

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Ⅰ列王記17:13~14(2024/05/08)

【17:13】
『エリヤは彼女に言った。「恐れてはいけません。行って、あなたが言ったようにしなさい。しかし、まず、私のためにそれで小さなパン菓子を作り、私のところに持って来なさい。それから後に、あなたとあなたの子どものために作りなさい。』
 女から事情を聞いたエリヤは、女が『言ったように』することを命じます。すなわち、女が薪で調理した食物を食べることです。しかし、エリヤはまず自分のために調理して食物を持って来るよう命じます。そうしてから女と女の子どもが食べるべきだとエリヤは言うのです。女と女の子どもが先なのではありません。エリヤが自分のほうを優先させたのは、神の御言葉があったからです。もし彼女が定められた女であれば、彼女はエリヤを養うわけですから、エリヤが先であっても言われた通りにしたことでしょう。しかし定められていなければ、女はエリヤの求めに反発していたことでしょう。つまり、エリヤはまず自分に与えることを求めることで、この女が本当に定められた女なのかどうか確かめようとしたわけです。こういった求めは通常であれば自己中心と思われたかもしれません。しかし、エリヤの場合は問題がありませんでした。エリヤは御言葉のゆえにこういった求めをしたからです。このような求めであっても、定められた者であれば、必ず御心に適ったことを行なうものなのです。

 

 ここでエリヤが女に『恐れてはいけません。』と言ったのは、どういう意味でしょうか。すなわち、エリヤは女が何を恐れるなと言ったのでしょうか。これは女が苦しんでいる悲惨な状況とその状況により齎される死のことでしょう。女には食物が僅かしかなかったので、これから息子と共に死のうとしていました。これでは恐れたとしても自然なことだったでしょう。しかし、女は息子と共にもう死ぬ必要がなくなりました。ですから、エリヤは恐れるなと女に命じたわけです。

 

【17:14】
イスラエルの神、主が、こう仰せられるからです。『主が地の上に雨を降らせる日までは、そのかめの粉は尽きず、そのつぼの油はなくならない。』」』
 女がこれから粉と油を調理するならば、女の手元に食べる物は全く無くなるか塵ほどしか残らなくなったはずです。何故なら、『一握りの粉』と『ほんの少しの油』しか無ければ、すぐにも減ってしまうからです。しかし、神はこういった悲惨な状況の女に対し、次のように言われました。『主が地の上に雨を降らせる日までは、そのかめの粉は尽きず、そのつぼの油はなくならない。』女の持っていた『かめ』と『つぼ』に入っていた食材が決して無くならないのは、神の奇跡によりました。神は全能の御方ですから、それらを尽きないようにすることができたのです。このようにして女と女の子どもは、もはや死ぬ必要がなくなりました。こういった理由のためエリヤは『恐れてはいけません。』と女に言ったわけなのです。確かに女はもう恐れるべきではありませんでした。