聖書の学び

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Ⅰ列王記10:19~20(2023/12/27)

【10:19~20】
『座席の両側にひじかけがあり、そのひじかけのわきには二頭の雄獅子が立っていた。また、十二頭の雄獅子が、六つの段の両側に立っていた。このような物は、どこの王国でも作られたためしがなかった。』
 ソロモンは、この王座に肘を置くための『ひじかけ』を作りました。もし肘掛けが無ければ、肘を置く場所が王座にはないままです。その場合、王の肘は安定しません。そのようであると王の尊厳に関わります。王者は王者らしく見えるトリックがどうしても必要です。ルイ14世を考えても分かる通り、王者は堂々としていてこそ王者らしく見えるものです。ですから、ソロモンは王座に肘掛けを付けずにおきませんでした。もし肘掛けが無ければ、座った時のソロモンは少し惨めに見えていた可能性もあります。この『ひじかけのわきには二頭の雄獅子が立ってい』ました。すなわち、右の肘掛けの右に1頭の雄獅子がおり、左の肘掛けの左にも1頭の雄獅子がいました。当然ながらその雄獅子は作り物です。どうして肘掛けの脇に雄獅子が作られたのでしょうか。これは王の王権および威圧する恐ろしさを示すためです。聖書において獅子は権威や恐ろしさを象徴する存在だからです。この雄獅子における大きさや雰囲気は詳しくここで書かれていません。しかし、それは恐らく強い雰囲気を放つ獅子だったことでしょう。王は1人でいてさえ恐るべき存在です。であれば王の横にこのような獅子がいたとすれば、王の威厳はどれだけ際立ったことでしょうか。ソロモンの下にあった6つの段には、その両側に『十二頭の雄獅子』が立っていました。すなわち、1段の左端と右端にそれぞれ1頭の雄獅子が立っており、それが6段ありました。これが合計で12頭だったのは象徴性があるはずです。これは12頭の雄獅子がそこに立っているという状態を、ソロモンが「選んだ」ということでしょう。12は聖書で選びを示すからです。つまりソロモンは王座を作らせる際、6つの段の両側に雄獅子を作るよう指示したのです。だからこそ、そこには12頭の雄獅子が立つことになったわけです。この通り、王座には合計で14頭の獅子―右側に7頭、左側に7頭―が立っていました。このような王座は、その王座だけであっても恐ろしいと感じさせられたかもしれません。そこに恐るべき存在である王が座ります。ですから、この王座に座ったソロモンを見た人々が圧倒された可能性はかなり高いでしょう。20節目で言われている通り、このような王座は『どこの王国でも作られたためしが』ありませんでした。つまり、この王座には創造性・独自性・貴重性がありました。真似事でない真に優れた製作品は、優れた知恵により生み出されます。ソロモンは神の英知を受けていましたから、こういった王座を作ることができたのです。今の時代でこのような王座が見られるでしょうか。決して見られません。それはソロモンのような英知ある強大な大王が、今の時代には全く存在していないからです。今の時代でこの王座に座るに相応しいような支配者はどこにもいないでしょう。