聖書の学び

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Ⅰ列王記4:33~5:1(2023/08/09)

【4:33】
『彼はレバノンの杉の木から、石垣に生えるヒソプに至るまでの草木について語り、獣や鳥やはうものや魚についても語った。』
 ソロモンは箴言を語り歌も作っただけでなく、植物や動物についても語ることをしました。ここで『レバノンの杉の木』また『ヒソプ』と書かれているのは、その語られた植物の一例です。ソロモンは知られている限り全ての植物について語ったのでしょう。また『獣や鳥やはうものや魚』とは、すなわち動物の全体を意味しています。ソロモンは当時に知られている全ての動物を語ったと思われます。このようにソロモンは、学問の領域においても、卓越した知性を発揮していました。ソロモンは社会的な王者であるうえ、知者たちの王者であり、学問の王者でもあったわけです。これでは注目されないほうがおかしかったと言えるでしょう。天はソロモンに二物も三物も与えたのです。受ける者は多くを受けるものなのです。

 

【4:34】
『ソロモンの知恵を聞くために、すべての国の人々や、彼の知恵のうわさを聞いた国のすべての王たちがやって来た。』
 ソロモンは神の知恵を持っていたゆえ、その名声はあらゆる国に鳴り響いており、そのため王であれ一般人であれ、諸国から人々がソロモンの知恵を聞こうとしてイスラエルエルサレムにやって来ました。中国からも人が訪問して来たはずです。当時のヨーロッパ地域において、認識的な意味で東の果てはインドでした。ですから、アレクサンドロスも地球全土の支配者となるべくインドまで征服しに行こうとしたわけです。中国は認識の領域を越えた別次元の場所でもあるかのように感じられていました。西洋の古代文書に中国への言及がほとんど見られないのは、このためなのです。しかし、ソロモンの噂はこの中国にまで多かれ少なかれ届いていたはずです。であれば、中国からも訪問者がエルサレムまでやって来たに違いありません。エルサレムに訪問した人々は、ソロモンの噂が事実かどうか確かめようとやって来たのです。何故なら、自分の耳でソロモンの知恵を聞き、実際に語っているソロモンをその目で見るならば、噂が真実だったと確かめられるのだからです。その訪問者の数は実に多かったと思われます。しかし、それが実際にどれほどの数だったかは分かりません。

 

【5:1】
『さて、ツロの王ヒラムは、ソロモンが油をそそがれ、彼の父に代わって王となったことを聞いて、自分の家来たちをソロモンのところへ遣わした。ヒラムはダビデといつも友情を保っていたからである。』
 『ヒラム』王が支配していた『ツロ』という場所は、イスラエルの最北部、地中海の沿岸沿いに面した場所であり、異邦人の国です。このヒラムも異邦人だったはずです。すなわち、あるユダヤ人がツロ国の王として任命されたというのではなかったはずです。このヒラムは異邦人でしたが、しかし『ダビデといつも友情を保ってい』ました。ダビデとヒラムが仲良しだったというのは、つまりヒラムがヤハウェに敵対的な人物ではなかったということを意味します。何故なら、主を愛していたダビデが主に敵対的な王と仲良くするなどというのは全く有り得ないことだからです。詩篇のある箇所では、「私はあなたを憎む者を憎まないでしょうか。」と記者が主に対して言っているのです。実際、後の箇所から分かる通り、このヒラムという異邦人の王は、異邦人でありながらヤハウェを敵視するような者ではありませんでした(Ⅰ列王的5:7)。このヒラムは、ソロモンが王になったと聞いて、『自分の家来たちをソロモンのところへ遣わし』ました。これはソロモンに対する挨拶および親交のためだったはずです。自分と仲良くしていたダビデの子ソロモンが新しくイスラエルの王になったのです。であれば、どうしてヒラムは何か友情的な働きかけをしないままでいることができたでしょうか。もしヒラムが何もしないままでいたとすれば、ヒラムはダビデとの友情を何も持っていなかったことになるのです。