聖書の学び

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Ⅰ列王記2:44~46(2023/07/14)

【2:44~46】
『王はまた、シムイに言った。「あなたは自分の心に、あなたが私の父ダビデに対してなしたすべての悪を知っているはずだ。主はあなたの悪をあなたの頭に返されるが、ソロモン王は祝福され、ダビデの王座は主の前でとこしえまでも堅く立つであろう。」王はエホヤダの子ベナヤに命じた。彼は出て行って、シムイを打ち取った。こうして、王国はソロモンによって確立した。』
 ソロモンがここで言っている通り、シムイはかつて自分が犯したダビデに対する悪を覚えていました。シムイはあんなにも大きな悪事を犯したのです。どれほど忘れっぽい人であっても、ここまでの悪事を忘れることは難しかったでしょう。シムイが犯したその悪は、この時に罰せられることとなりました。つまり、シムイは自業自得である死を報いとして受けねばなりません。このシムイも示す通り、人が行なったことは結局、その人の上に報いとして返って来るのです。ですから、パウロはガラテヤ6章でこう言っています。『思い違いをしてはいけません。神は侮られるような方ではありません。人は種を蒔けば、その刈り取りもすることになります。』ソロモンはこのシムイも、『エホヤダの子ベナヤ』に打ち取らせました。このベナヤはソロモンの側近としていつも仕えていたと思われます。シムイがどのような仕方により殺されたのかは分かりません。しかし、即死の殺され方だったことは間違いないと見てよいでしょう。また、この箇所ではシムイに対してだけ悪が返されると書かれており、子孫については何も言われていません。ヨアブの場合は、ヨアブだけでなくヨアブの子孫も報いられると言われていました。これは恐らくシムイに子孫がいなかったからなのかもしれません。何故なら、もしシムイに子孫がいれば、恐らくシムイだけでなくシムイの子孫にも報いが下されると言われていただろうからです。

 

 このようにシムイには罰が下される一方、『ソロモン王は祝福され、ダビデの王座は主の前でとこしえまでも堅く立つ』ことになります。これはソロモンがイスラエルから悪を取り除いたからです。神はこのようなソロモンの行ないを喜ばれました。ですから、神はソロモンとソロモンが受け継いだダビデの王座に良くして下さるのです。実際、ソロモンが言ったことはその通りになりました。『ソロモン王は祝福され』たので、その治世においてイスラエルは栄華の極みに達したのです。「ソロモンの栄華」という言葉は誰でも一度ぐらいは聞いたことがあるでしょう。祝福されないでは物質的な繁栄に与かることができません。また『ダビデの王座は主の前でとこしえまでも堅く立つ』というのは、キリストにおいて成就しています。というのも、キリストはダビデの王座にとこしえまでも就かれ続けるのだからです。

 

 このようにしてイスラエルの王制は『ソロモンによって確立した』のです。それはソロモンが国から悪を取り除いたからでした。その悪とは4つです。すなわち、アドニヤという愚か者の悪、エブヤタルという反対者の悪、ヨアブという凶悪殺人者の悪、そして私たちが今見ているシムイという冒涜者の悪です。私たちも群れを確立したければ、ソロモンのように悪者を殺したりすることは出来ませんが、そこにある悪を取り除くのが望ましいでしょう。例えば、群れにとんでもない反抗的人物がいたとすれば除名したりし、犯罪的人物がいたとすれば警察に通報して逮捕してもらったりするのです。「悪」とはその群れにおける錆びや病菌のようなものです。つまり、悪があれば錆びのように群れの歩みを妨げてしまいかねません。また病菌のようにダメージや問題を生じさせかねません。