聖書の学び

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Ⅰ列王記9:16~17(2023/12/07)

【9:16~17】
『―エジプトの王パロは、かつて上って来て、ゲゼルを攻め取り、これを火で焼き、この町に住んでいたカナン人を殺し、ソロモンの妻である自分の娘に結婚の贈り物としてこれを与えていたので、ソロモンは、このゲゼルを再建した。―』
 イスラエル人がカナンの地に入るより前、その地にはカナン人が住んでいました。そこにいたカナン人たちは、イスラエルと盟約を結んだ人々を除き、全て滅ぼし尽くすべきでした。イスラエルがカナンの地に入植してからもう300年ぐらい経っています。しかし、それでもまだその地には滅ぼされていない残されたカナン人がいました。ここで書かれている『ゲゼル』もそのような場所の一つでした。このゲゼルをエジプト王パロは『攻め取り、これを火で焼き、この町に住んでいたカナン人を殺し』ていました。これはそこにいたのがカナン人だったからです。もしもう既にそこをイスラエルが占領していたとすれば、パロはそこに攻め入ることなどしなかったでしょう。何故なら、もしそこにイスラエル人が住んでいたとすれば、パロは自分の娘が嫁いだソロモンの支配する民の住む場所を滅ぼすことになるからです。このようにするのはソロモンとソロモンに嫁いだ自分の娘に喧嘩を売ることですが、そんなことをパロがするはずはないのです。そして、パロは『ソロモンの妻である自分の娘に結婚の贈り物としてこれを与えてい』ました。町を贈り物にするというのは一般人からすれば考えられません。しかし、王であればしばしばそのような贈り物を誰かに与えていました。王と一般人ではスケールが違うわけです。パロがこのゲゼルを自分の娘に与えたのは、パロにとってそれが良いと思われたからです。というのも、ゲゼルを贈るならば、それは娘の結婚に対する大きな祝いとなりますし、その町を所有した娘のソロモンに対する価値を高めることともなるからです。しかしゲゼルはパロに滅ぼされて廃墟となっていたでしょうから、『ソロモンは、このゲゼルを再建した』のです。再建するのがソロモンにとって好ましいと思われました。何故なら、そのゲゼルはパロからの贈り物だからです。そのような贈り物が荒れたままであれば、それは贈り物として相応しい状態ではないままです。ソロモンが再建してきちんとするからこそ、それは贈り物として喜ばしい状態となります。もしソロモンが再建しなかったとすれば、ゲゼルは惨めな贈り物であるままだったでしょう。