聖書の学び

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Ⅰ列王記15:20~21(2024/04/10)

【15:20~21】
『ベン・ハダデはアサ王の願いを聞き入れ、自分の配下の将校たちをイスラエルの町々に差し向け、イヨンと、ダンと、アベル・ベテ・マアカ、および、キネレテ全土と、ナフタリの全土とを打った。バシャはこれを聞くと、ラマを築くのをやめて、ティルツァにとどまった。』
 アサ王の同盟要求をベン・ハダデは聞き入れましたから、2人の間には同盟関係が結ばれました。こうしてベン・ハダデはイスラエルとその王を裏切り、再びアラムとユダに同盟関係が戻ったのです。ユダにとっては幸いなことであり、イスラエルにとっては望ましくありませんでした。ベン・ハダデがアサの願いを聞き入れたのは、神がそれを聞き入れるようベン・ハダデの心に働きかけて下さったからです。神はベン・ハダデが願いを聞き入れないようにすることもできました。しかし、神はそうされませんでした。何故なのでしょうか。それはアサが『父ダビデのように、主の目にかなうことを行なった』(Ⅰ列王記15章11節)からであり、その心が『一生涯、主と全く一つになっていた』(同14節)からでしょう。つまり、アサが神に忠実だったので、神もアサに良くして下さったのです。もしアサが不忠実であれば、神は恐らくベン・ハダデにアサの願いを退けさせておられたはずです。何故なら、不忠実な者は神に嫌われるからです。神に嫌われる不忠実な者の求めは往々にして実現されないものです。

 

 こうしてユダと同盟を結んだベン・ハダデは、『自分の配下の将校たちをイスラエルの町々に差し向け』、イスラエル王国の北部に攻撃をしました。これはバシャがラマ建設を止めるようにするためです。イスラエル王国の北部が侵攻されるならば、イスラエル王はその侵攻を無視することができないでしょう。無視できなければ、ラマ建設を止め、その侵攻のほうにこそ対処する必要が生じます。そうなることこそベン・ハダデの狙いだったのです。この時にベン・ハダデの『差し向け』た『配下の将校たち』がどれぐらいいたかは分かりません。ベン・ハダデの打った『イヨン』とは、イスラエル王国の最も北にある場所です。『アベル・ベテ・マアカ』は、イヨンから10kmほど南に離れています。『ダン』は、アベル・ベテ・マアカのすぐ東に位置しています。『キネレテ全土』とは、キネレテ海の北部に広がる地域一帯です。『ナフタリの全土』とは、これら4つを含めたナフタリ族の相続地における全体部分です。それらの場所はかなりの広さでした。ここまで広い地域を打つからこそ、ベン・ハダデはバシャの意識をラマ建設から引き離させることができたのです。もしこれほど広い地域が打たれても無視したとすれば、バシャほど愚かな者は他にいなかったことになるでしょう。こうしてバシャは『ラマを築くのをやめて、ティルツァにとどま』りました。『ティルツァ』はイスラエル王国のだいたい中央部分に位置しており、そのすぐ南にはエバル山およびゲリジム山またシェケムがあります。そこはラマから50kmほど北に離れています。このようにラマ建設を止めたのは、バシャにとって思いがけないことであり、望ましくないことでした。