聖書の学び

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Ⅰ列王記15:18~19(2024/04/09)

【15:18~19】
『アサは主の宮の宝物倉と王宮の宝物倉とに残っていた銀と金をことごとく取って、自分の家来たちの手に渡した。アサ王は、彼らをダマスコに住んでいたアラムの王ヘズヨンの子タブリモンの子ベン・ハダデのもとに遣わして言わせた。「私の父とあなたの父上の間にあったように、私とあなたの間に同盟を結びましょう。ご覧ください。私はあなたに銀と金の贈り物をしました。どうか、イスラエルの王バシャとの同盟を破棄し、彼が私のもとから離れ去るようにしてください。」』
 ユダの神殿と王宮には、『銀と金』という財宝がありました。これらをアサは家来たちに渡します。その財宝がどれぐらいあったかは分かりません。アサが財宝を家来たちに渡したのは、それをアラム王『ベン・ハダデ』に渡させることで、アラム王と同盟を結ぶためでした。同盟を結ぶというのであれば、贈り物を贈るのが礼儀というものだからです。もし何も贈らず同盟を結ぼうとすれば、無礼な者として蔑まれても文句は言えないでしょう。アサは何としてもベン・ハダデと同盟を結びたく願いました。それゆえ、アサ王は『銀と金をことごとく』贈ることにしたのです。アサはアラム王と同盟を結ぶことで、アラム王が『イスラエルの王バシャとの同盟を破棄』することを願いました。ベン・ハダデとバシャは同盟を結んでいたのです。そうしてベン・ハダデがユダの地からバシャを『離れ去るように』してくれることこそアサの求めていたことでした。そうなれば、もはやバシャの脅威はユダから消え去るからです。つまり、アサが銀と金を犠牲にしてアラム王との同盟を求めたのは、自国を防衛するためでした。このベン・ハダデが住んでいた『ダマスコ』とは、イスラエル王国を北へ越えたアラムの首都であり、そこにはシリア人が住んでいました。この箇所でベン・ハダデが祖父の代から遡って書かれているのは、聖書において家系というのは重要な意味を持つからです。そのため、聖書ではこのような人名の書かれ方がしばしば見られるわけです。

 

 アサの父アビヤムとベン・ハダデの父『タブリモン』は、同盟を結んでいました。しかし、この2人の王の子たちである王は、同盟を結んでいませんでした。ベン・ハダデはユダ王と同盟を結んでいた父と異なり、イスラエル王と同盟を結んでいたのです。アサは、ベン・ハダデにおけるイスラエル王との同盟を失わせ、再び父たちの同盟状態を回復させようとしたわけです。アビヤムとタブリモンの同盟関係は、両方の子が王となるまでにリセットされてしまったのでしょう。

 

 ここでアサが贈ったような贈り物は、それを贈った相手との間に効果を生じさせます。贈り物の有効性は、ソロモンも箴言で教えています。その贈り物が良ければ良いほど、また多ければ多いほど、有効性も高まるでしょう。これは経験からも分かるところです。だからこそ、アサは何としてもベン・ハダデとの同盟交渉を成功させるべく、財宝を『ことごとく』贈ることにしたわけです。