聖書の学び

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Ⅰ列王記5:9~11(2023/08/15)

【5:9】
『私のしもべたちはそれをレバノンから海へ下らせます。私はそれをいかだに組んで、海路、あなたが指定される場所まで送り、そこで、それを解かせましょう。あなたはそれを受け取ってください。それから、あなたは、私の一族に食物を与え、私の願いをかなえてください。」』
 ソロモンの要請を聞き入れたヒラムは、これからどのようにして木材を提供するか説明します。このように説明したのは友情があったからでしょう。友情とは愛の一つだからです。すなわち、それは「友愛」と呼ばれます。パウロが言ったように『愛は親切』です。それゆえ、友情とは愛することであり、親切にすることなのです。ヒラムは、レバノンから切り出した木材を『いかだに組んで』海から持ち運ばせると言います。『いかだに組』むというのはよく分かることです。しかし、その筏を流す『海』『海路』とはどこなのでしょうか。この海とは地中海のことでしょうか、それともキネレテの海からヨルダン川に流して運ばせるということでしょうか。キネレテの海も一応は『海』です。またそこから出ているヨルダン川は『海路』と呼ぶことが可能でしょう。このⅠ列王記を見るだけではどちらなのか分かりませんが、Ⅱ歴代誌2章を見ると、これは地中海を指していることが分かります。それというのも、Ⅱ歴代誌2:16の箇所で、ヒラムは『海路をヤフォまで』運ばせると言っているからです。『ヤフォ』また「ヨッパ」とは、地中海の沿岸に面したペリシテ人の住む地域です。ですから、この箇所でキネレテの海について言われていると考えるのは誤っています。勿論、キネレテの海からヨルダン川を通して流すというのも、不可能ではなかったでしょう。しかし、ヨルダン川には荒々しい流れがありますから、ヨルダン川からの場合、技術的な難しさが伴っていたはずです。つまり、ヒラムの提案はこのようになります。まずツロの人々がレバノンから切り出した木材を、西の地中海まで運びます。そして、その木材を筏に組んで流し、かなり南にある『ヤフォ』まで運びます。そこに到着したならば、そこでユダヤ人が木材を受け取ります。そうして後、ユダヤ人は受け取った木材を、南東に位置するエルサレムまで移動させます。そして、そのエルサレムで提供された木材を宮建設のため使用するのです。ですから、木材は「コ」の字を逆にした進路でレバノンから運ばれることとなります。その運ばれる距離はかなりのものです。ヒラムは、そのようにして任務を果たしたツロ人たちに対し、ソロモンが『食物を与え』るように求めます。ヒラムがこのように求めたのは当然でした。ソロモンも自分自身で、働いたツロ人たちには報酬を与えると言っています(Ⅰ列王記5:6)。もしソロモンが木材を提供してくれたツロ人たちに報いなければ、ただ働きさせたことになるのです。木材のために働いたツロ人は報酬を受ける権利がありました。キリストも言われたように、『働く者が報酬を受けるのは当然』だからです。

 

【5:10~11】
『こうしてヒラムは、ソロモンに杉の木材ともみの木材とを彼の望むだけ与えた。そこで、ソロモンはヒラムに、その一族の食糧として、小麦二万コルを与え、また、上質のオリーブ油二十コルを与えた。ソロモンはこれだけの物を毎年ヒラムに与えた。』
 このようにしてソロモンとヒラムは木材における契約を結びました。ですから、ヒラムはソロモンに対し『杉の木材ともみの木材とを彼の望むだけ与えた』のです。これに対し、ソロモンは対価として毎年、『ヒラムに、その一族の食糧として、小麦二万コルを与え、また、上質のオリーブ油二十コルを与えた』のです。ソロモンはこの時からもう富んでいたでしょうから、このぐらいの対価を与えても、財政的に負担となることはなかったはずです。