聖書の学び

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Ⅰ列王記15:29~30(2024/04/16)

【15:29~30】
『彼は、王となったとき、ヤロブアムの全家を打ち、ヤロブアムに属する息のある者をひとりも残さず、根絶やしにした。主がそのしもべ、シロ人アヒヤを通して言われたことばのとおりであった。これはヤロブアムが犯した罪のため、またイスラエルに犯させた罪のためであり、またイスラエルの神、主の怒りを引き起こしたその怒りによるのであった。』
 イスラエルの王となったバシャは、王となってから、『ヤロブアムの全家を打ち』ました。つまり、以前の王家に属していた全ての人間を粛正しました。謀反や革命などにより支配者が入れ替わる場合、それまで支配者だった者の一族がことごとく粛清されるのは、決して珍しくありません。ロシア革命の際も、それまで皇帝の一族だったロマノフ家が、ボリシェヴィキ軍により粛清されました。このような出来事はこれまでごく普通に行なわれてきました。かつての支配者一族を粛正するのは、復讐の危険を消し去るためです。何故なら、支配権を奪われた者たちの復讐心は非常に強く、失われた支配権を取り戻そうと企むこともあるでしょうから、新しい支配者にとって致命的な問題となりかねないからです。また、そのように以前の支配者一家を粛正すれば、しっかり区切りが付くことにもなります。そのような区切りが付けば、円滑さと平安が生じることにもなるのです。こういうわけで王となったバシャは『ヤロブアムに属する息のある者をひとりも残さず、根絶やしにした』のです。こうしてヤロブアム家の人間は全くいなくなりました。これはかつて『主がそのしもべ、シロ人アヒヤを通して言われたことばのとおりで』した。神は前からヤロブアム家がこうなるように定めておられました。ですから、実際にそうなったわけです。ヤロブアム家が粛清された際は、誰一人として墓に葬られず、その死体は動物に喰われてしまいました。既に見た通り、ヤロブアム家の人間で墓に葬られるのは、ただあの子だけだったからです。こうして正に神が言われた通りとなったのです。

 

 ヤロブアム家がこのような悲惨を受けることになったのは、3つの理由からでした。まず一つ目は『ヤロブアムが犯した罪のため』です。ヤロブアムは偶像崇拝という非常に大きな罪を犯し、呪われるに値する者となりました。ですから、その呪いがこの時に神から注がれたのです。二つ目はこのヤロブアムが『イスラエルに犯させた罪のため』です。ヤロブアムは自分が罪を犯すだけでなく、自分の治めるイスラエルの全体にもその罪を犯させました。そのようなことをしたヤロブアムの家は大きな災いを受けて当然だったのです。三つ目は『イスラエルの神、主の怒りを引き起こしたその怒り』でした。ヤロブアムとイスラエルが犯した罪は極めて邪悪であり、それは神を大いに怒らせました。ですから、怒られた神は復讐としてヤロブアム家に大きな災いを注がれたのです。この通り、ヤロブアムの家が悲惨になったのは、しっかりとした理由がありました。ヤロブアムとイスラエルが忌まわしい罪を犯したからこそ、このようになったのです。自業自得とは正にこのことです。

 

 このように偶像崇拝の罪を犯したり、自分以外の存在にも偶像崇拝の罪を犯させるならば、その罪により神が怒られますから、容赦のない神罰が注がれることになります。日本に落とされた原爆もその通りでした。今に至るまで偶像崇拝の満ちている日本は、偶像崇拝に陥っていたイスラエル王国と、偶像崇拝の罪を犯している点で何も変わりません。ですから、ヤロブアム家が偶像崇拝のため大きな災いを受けたように、日本も偶像崇拝のため原爆において大きな災いを受けることとなったのです。私たちはこのことを弁え、決してヤロブアム家のようになるのを避けるべきです。そうならないため、この箇所ではヤロブアム家の受けた悲惨が私たちに対する警告として示されています。