聖書の学び

聖書の学び

Ⅰ列王記18:44~46(2024/06/11)

【18:44】
『それでエリヤは言った。「上って行って、アハブに言いなさい。『大雨に閉じ込められないうちに、車を整えて下って行きなさい。』」』
 バアルの預言者たちは殺されましたが、アハブは生かされ続けていました。殺されないのであれば生き続けるべきなのです。であればアハブはもうカルメル山から離れるべきでした。もしこのままカルメル山にいれば大雨により悲惨な状態となりかねないからです。このため、エリヤはアハブが『大雨に閉じ込められないうちに』カルメル山から出るよう命じます。『閉じ込められ』るとは、非常な大雨により身動きが取れなくなることです。これまでずっと降らなかった雨が一挙に降るわけです。ですから、その大雨は極めて激しいものだったことでしょう。エリヤが『車を整えて』行くように命じたのは、つまり速やかにカルメル山から離れよということです。もたもたしていれば大雨に妨げられることとなりかねません。アハブは車によりカルメル山まで来ていたのでしょう。アハブは王でしたから車に乗るのは自然なことです。

 

【18:45】
『しばらくすると、空は濃い雲と風で暗くなり、やがて激しい大雨となった。アハブは車に乗ってイズレエルへ行った。』
 エリヤが言った言葉の通り、空の状態を見れば、もう大雨になることは明らかでした。『空は濃い雲と風で暗くな』ったのです。久々に雨が降るのですから、その雲と風はどれだけ濃く強かったでしょうか。それから『激しい大雨』となりました。それは極めて激しい大雨だったはずです。こうして『アハブは車に乗ってイズレエルへ行』きました。『イズレエル』とはカルメル山の東に位置しており、イズレエル平原の場所です。そこは王宮のあった首都サマリヤから北に離れています。この時にもうバアルの預言者は死んでいましたから、アハブと共にバアルの預言者はいませんでした。恐らく、この車にはアハブの臣下や僕たちが共に乗っていたと考えられます。

 

【18:46】
『主の手がエリヤの上に下ったので、彼は腰をからげてイズレエルの入口までアハブの前を走って行った。』
 アハブは自分たちだけで行ったのでありませんでした。エリヤもアハブと共に行きました。しかも、エリヤはアハブの前を進んで行きました。どういうことかと言えば、『主の手がエリヤの上に下った』のです。神の御力がエリヤに注がれました。それゆえ、エリヤは車の前を走ることができたのです。この時のエリヤはどれだけスピードを出していたでしょうか。車の前を走ったのですから、かなりの速度だったことは間違いないはずです。神はエリヤにこのようことさえ行なわせられました。これは神の奇跡ですから、エリヤ自身の力によるのではありません。ですから、エリヤがいつもこのように走れたというわけではないでしょう。勿論、神がいつも働きかけるならば、いつもエリヤはこのように走れたことでしょうが。この時のエリヤが『アハブの前』を進んだのは、つまりエリヤがアハブに対する主導権を握っていたということです。アハブはエリヤとの戦いに完敗したのですから、エリヤの言われる通りにせねばならないからです。今でもそうである通り、敗けた者は王であっても勝者の支配下に置かれるのが常なのです。