聖書の学び

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Ⅰ列王記11:21~22(2024/01/15)

【11:21】
『さてハダデは、ダビデが彼の先祖たちとともに眠ったこと、また、将軍ヨアブも死んだことを、エジプトで聞いた。』
 エジプトで保護されていたハダデは、ダビデとヨアブが死んだことを聞き知りました。まずダビデが恐らく寿命か病気で死に、それからヨアブがソロモンにより殺されました。ダビデは大国の王だったのですから、その死は諸国で大きなニュースとなったはずです。ですから、ハダデもそのことを知らないままでいることはありませんでした。ヨアブもカエサルのような大将軍でしたから、その死は諸国に知れ渡ったことでしょう。これもハダデは聞かないままでいることがありませんでした。支配者や大人物が死んだら諸国に伝え知らされるというのは昔から何も変わっていません。このことから分かる通り、ハダデは少年の頃からヨアブが死ぬ時期までエジプトに住んでいました。

 

【11:21~22】
『ハダデがパロに、「私を国へ帰らせてください。」と言うと、パロは彼に言った。「あなたは、私に何か不満があるのか。自分の国へ帰ることを求めるとは。」すると、答えた。「違います。ただ、とにかく、私を帰らせてください。」』
 ダビデとヨアブが死んだのを知ったハダデは、パロに対し『私を国へ帰らせてください。』と言います。『国』とはエドム国のことです。どうしてハダデはこの時になって祖国へ帰ろうとしたのでしょうか。それはイスラエルに対し復讐するためだったことでしょう。何故なら、先の箇所で『主は、ソロモンに敵対する者としてエドム人のハダデを起こされた。』(Ⅰ列王記11章14節)と書かれていたからです。もしハダデがずっとエジプトに留まっていれば、ソロモンに敵対して苦しめることはできないままなのです。しかし、ハダデは祖国に帰る理由を何も言わなかったので、パロは自分に不満があるから帰りたいとでも言うのかと問います。この問いに対しハダデは『違います。』とハッキリ答えました。確かにハダデはパロが嫌なので祖国に帰ろうとしたのではありません。ハダデは何とかイスラエルに敵対してやろうと思っていたはずですが、しかしその企みをパロに言うことはできませんでした。というのもソロモンはパロの娘を娶っておりパロと関係を持っていましたから、パロに自分の企みを言えば上手く行かない可能性もあったはずなのです。ですから、ハダデは『ただ、とにかく、私を帰らせてください。』と帰る理由を言わずに帰ろうとしました。このようにハダデがエドムに帰ったのは、ソロモンが酷い罪に陥ったからです。こうしてハダデは知らず知らずのうちにソロモンに対する刑罰の道具として神から用いられることとなりました。