【11:18~20】
『彼らはミデヤンを出立し、パランに行き、パランから幾人かの従者を従えてエジプトへ行き、エジプトの王パロのところに行った。するとパロは彼に家を与え、食料をあてがい、さらに、土地をも与えた。ハダデはパロにことのほか愛された。パロは自分の妻の妹、すなわち王妃タフぺネスの妹を彼に妻として与えた。タフぺネスの妹は彼に男の子ゲヌバテを産んだ。タフぺネスはその子をパロの宮殿で育てた。ゲヌバテはパロの宮殿でパロの子どもたちといっしょにいた。』
ハダデたちは、ミデヤンからパランに、パランからエジプトに、という順路で進みました。エドムからエジプトまではかなりの距離です。彼らは途中、パランで『従者を従えてエジプトへ行き』ました。その『幾人』がどれぐらいだったかは詳しく分かりません。これは人数が多ければ何かと良かったからなのかもしれません。こうしてハダデがエジプトに着くと、パロから厚遇されました。パロは王の子孫であるハダデに良くすれば後々のためになると考えたのでしょうか、それとも単なる善意から厚遇したのでしょうか。どちらにしても、神がパロの心に厚遇する意思を与えられたことは間違いありません。パロはハダデに『家』と『食料』と『土地』を与えました。更にパロは妻の妹をも、このハダデに妻として与えました。これはハダデが『パロにことのほか愛された』紛れもない証拠でした。パロが妻の妹を与えることで、ハダデとの関係を密接にしようとしたのは明らかだからです。もしハダデが愛されていなければ、このように王妃の妹まで妻に与えられることはなかったでしょう。ハダデに妻として与えられた王妃の妹は、『男の子ゲヌバテ』を産みました。王妃の妹から子が産まれたとなれば、もはやハダデとパロの関係は切っても切り離せないものとなります。こういった王族間の強固な関係が王と王国にとって有益さを齎すものなのです。こうして産まれた子ゲヌバテは、王妃に育てられただけでなく、『パロの宮殿でパロの子どもたちといっしょにい』るという幸いに与かりました。このようなわけでハダデがエジプトに逃げたのは、ハダデにとって正解であり幸いなことでした。もしハダデがヨアブから逃げていなければ、エドムの地で殺されていたでしょうから、ソロモンへの敵対者として神から起こされることもありませんでした。