【8:23】
『イスラエルの神、主。』
ソロモンはまず主の御名を呼び求めることから始めています。これは祈りの対象が神だからです。ちょうど平民が王に対して語りかける際、まず最初に「最も栄えておられる光輝ある王よ。」などと言うのと似ています。先にも述べた通り、ここでは『イスラエルの神、主』と言われているものの、この神はイスラエル人だけの神に決して限定されません。イスラエルの神は、全人類の神であられるからです。パウロがローマ書の中で言っている通りです。『それとも、神はユダヤ人だけの神でしょうか。異邦人にとっても神ではないのでしょうか。確かに神は、異邦人にとっても、神です。』(ローマ3章29節)
『上は天、下は地にも、あなたのような神はほかにありません。』
ソロモンは神の唯一性について述べています。それは聖書の全体が教えていることです。確かに、神のような神はただ神だけしかおられません。『上は天』にも神のような存在は他にありません。ゼウスは天上にいる神として拝まれていましたが、これは古代ギリシャ人の空想神に過ぎません。太陽はこれまで神として多くの民族から拝まれてきましたが、それは単なる天体に過ぎず、被造物でしかありません。『下は地にも』神のような存在は他にありません。異教で崇められている地上の神は、偽りの神です。何故なら、そのような神は天も地も創らなかったからです。しかし、イスラエルの神は全宇宙を創られました。こういうわけで、律法では神だけを神とするように命じられているのです。こうです。『あなたには、わたしの他に他の神々があってはならない。』