聖書の学び

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Ⅰ列王記10:28~29(2024/01/03)

【10:28~29】
『ソロモンの所有していた馬は、エジプトとケベの輸出品であった。それは王の御用達が代価を払って、ケベから手に入れたものであった。エジプトから買い上げられ、輸入された戦車は銀六百、馬は銀百五十であった。同様に、ヘテ人のすべての王も、アラムの王たちも、彼らの仲買で輸入した。』
 ソロモンの所有する馬は、全部で4種類あったはずです。すなわち、第一は既に所有していた馬、第二はソロモン時代となってから新しく捕まえた馬、第三は贈り物として贈られた馬、第四はエジプトから買い上げた馬です。このうち4番目の馬がここでは言われています。『ソロモンの所有していた馬』がただ『エジプトとケベの輸出品』すなわち4番目の馬だけだったのではありません。何故なら、ソロモン時代よりも前からイスラエル王家が馬を持っていたのは明らかであり、またソロモンは贈り物として馬を受け取っていたからです。この4番目の馬は、『王の御用達が代価を払って、ケベから手に入れたもの』でした。これはソロモンのために買う馬ですから、かなり良質で高価だったはずです。今でも王の御用達は良質で高価な物ばかり作ったり献上したりします。もし低級な馬を御用達が買っていたとすれば、御用達として失格だったはずです。しかし、ソロモンのために買われた馬がどれぐらいの数だったかまでは分かりません。このエジプトから買われた馬の価格は、『戦車』が『銀六百』であり、『馬は銀百五十』でした。このことから馬に牽かせる『戦車』部分の価格をかなり詳しく知ることができます。戦車が二頭仕立てだったとすれば、戦車部分の価格は銀300だったことになります。戦車が三頭仕立てであれば、戦車部分の価格は銀150だったことが分かります。四頭仕立ての戦車であれば、戦車部分の価格は大したことがなかったでしょう。これは戦車ですから、1頭だけに牽かせるということはありませんでした。もし1頭だけだとすれば戦車部位の価格は銀450でしたが、これはあり得ません。また四頭を上回ると、ここで『戦車は銀六百』と言われているのと矛盾しますから、論外です。要するに、ソロモンのために買われた戦車は2~4頭仕立てだったことが分かります。買った戦車が全て同じ頭数ではなかった可能性もあります。その場合、買った戦車における頭数の詳細は詳しく分かりません。

 

 このようにエジプトから馬を買ったのは、律法に違反していたかもしれません。何故なら、律法は馬を手に入れる目的のためエジプトへ戻るなと命じているからです。こう書かれている通りです。『王は、自分のために決して馬を多くふやしてはならない。馬をふやすためだといって民をエジプトに帰らせてはならない。「二度とこの道を帰ってはならない」と主はあなたがたに言われた。』(申命記17章16節)『王の御用達』がエジプトに帰ったかどうかは分かりません。しかし、この購入は御心に適わなかった可能性がかなりあります。何故なら、この律法における御心はイスラエル人がエジプトへ霊的な回帰を決してしないことであると思われるからです。このようにエジプトから馬を買い上げたのは、ソロモンに666の数字が示されてからのことです。ですから、この購入はもしかするとソロモンが堕落した現われである可能性もかなりあるのです。

 

 ソロモンの御用達がそうしたのと『同様に』、『ヘテ人のすべての王も、アラムの王たちも、彼ら』すなわち『ケベ』の人々からエジプトの馬を『仲買で輸入し』ました。エジプトは輸出できるほど多くの馬を持っていたのでしょう。何かの分野で豊かに満ち溢れている国がいつの時代にもあるものです。しかし、ケベのように『仲買』を行なう人々であれば必ずしも常にいるというのではありません。